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上席顧問津田克彦先生のブログ

ブログ第3回「小学校入学前の学習はどこまで必要か」

上席顧問 津田克彦

上席顧問 津田克彦

2021/03/07 公開

2021/11/05 update

 プラチナム学習会顧問の津田克彦です。ブログ第3回をお届けします。今まで小学校就学準備をテーマとしてお話をしてきました。第1回は「小学校の教育はどう変わる」、第2回は「小学校ってどんなところ?」、そして今回は「入学前の学習はどこまで必要か」をお話したいと思います。

 小学校入学後の不安として学校生活面と同じように学習面も多くの保護者が心配されています。「計算はどこまで出来ていたら良いのか」「文字は読めたら良いのか、書けなければいけないのか」。お友だちの中に「繰り上がりの足し算はもちろん九九もできる」「ひらがなの読み書きや漢字も書ける」という子がいると聞くと焦る気持ちも湧いてくると思います。子育ての教育書やインターネットでの専門家の意見は「文字や数・計算は小学校に入ってから学びます。幼児期に習熟する必要はありません。」が主流ですし、正しい意見です。

 

(1)小学校入学児童の学力の実情は?

 では、実際に小学校に入学してくる子どもの学力(計算や文字)はどの程度なのでしょう。地域などにより違いはありますが、多くの子どもが「ひらがなが読める」「10までの数を数えることができる」レベルには達しています。ひらがなを読む、数を数えることは幼児にとってそれほど困難なものではなく、何も特別な勉強をしなくても、両親に絵本を読んでもらっているうちに興味を持ち、自然に覚えたり、お風呂で10までの数を数えることによって覚えることができます。それに対して「文字や数字を書く」という作業は自然にできるようになるものではなく、大人に教えてもらうことが必要です。入学時に文字や数字が完全に書ける子どもはそんなに多くないというのが実情です。

 

(2)入学する学校による違い

 入学時に「ひらがなが読める」「10までの数を数えることができる」なら、小学校の授業で困ることはありません。小学校ではひらがなの、とめ・はね・はらい、書き順などを丁寧に教えていきます。数も数えるだけでなく、量の感覚などをおはじきなどを使い丁寧に指導します。しかし、1年生の間に、文字はひらがなだけでなく、カタカナや漢字(80字)も習います。数では足し算や引き算を習い、さらに繰り上がり・繰り下がりの計算まで学びます。いくら丁寧に指導すると言っても、これだけの量を教えていくためには、文字や数を読んだり、書いたりする段階でそれほど時間を費やすることができません。授業は子ども達の持つ学力に沿って進めていきます。入学時に「文字や数」をある程度読めたり、書けたりできる子どもの多い学校では、どうしても学ぶスピードが速くなります。特に国立や私立の小学校に入学する子ども達は、受験準備も含め、かなり学んできます。国立や私立の小学校でも、ひらがなや数字から丁寧に指導していきますが、周りの子ども達の様子を見て、劣等感を感じてしまう子どももいます。スタートから躓かないためにも、入学する学校の子ども達のレベルに合わせて準備しておくことが必要でしょう。

 

(3)早教育の功罪

 では、文字や数は早くから、たくさん覚えさせた方が良いのでしょうか。文字を覚えることや数を数えることは、子どもにもよりますが、幼児にとってそれほど負担が大きいことではありません。教え込んだら、幼児の間に1年生で習う文字の読み書きや、繰り上がり、繰り下がりの計算まで出来るようになることは可能です。小学校に入学して学び始めたとき、先生に教わる学習内容が簡単にわかれば、自信をもって学ぶことに繋がり、良いスタートを切ることができるでしょう。その自信が勉強好きに繋がれば良いのですが、中には「分かってる」から、と学習に興味を失い、緊張感もなくし、先生の話を聞かなくなくなってしまう児童もいます。文字や漢字では「書ける」という自信から、「丁寧に書く」や「正しい書き順で書く」ということが疎かになってしまう児童もいます。1年生の初めに、このような悪い習慣が身につけば、その後の漢字学習に悪い影響を与えてしまいます。数についても「覚える」ことは容易ですが、「理解する」こととは違います。数の合成・分解や繰り上がり、繰り下がりのしくみをおはじきなどで理解する前に「5」と「8」→「13」と数字だけで覚えてしまう(最終的には数字を見ただけで答えを導き出せるレベルまで到達することを目指します)と、算数の楽しさや、考える力に繋がっていきません。「早く知る」ことは決して悪いことではありません。しかし、「覚えた」からと言って闇雲に次に進むのではなく、「学ぶ楽しさ」を親子で味わっておくことが大切です。

 

(4)小学校入学前に身に着けておきたい「非認知能力」

 最近、「非認知能力」という言葉をよく耳にするようになってきました。非認知能力とは認知能力(テストで測ることのできる能力 IQ 知能指数など)以外の認知能力を支える能力のことです。非認知能力は幼児期に養っておくべき能力です。例えば、「頑張る力(意欲など)」「感情をコントロールする力(忍耐力など)」「他人と関わる力(共感など)」です。これらの力が育っていると小学校での学習や生活をより円滑に進めることができます。

 非認知能力は、集団とのかかわり(協働作業や遊び)の中で、あるいは家庭生活の中で育ちます。家庭生活の中での非認知能力の育ちには親の生活習慣や考え方が大きく関わってきます。物事に取り組む意欲や努力、忍耐力や価値観、協調性などを子ども達は親から学んでいきます。

 子ども達が、「小学校でいろんな勉強をしたい」という意欲や、「たくさんの友達と遊びたい」などのワクワクする気持ちを胸に、小学校に入学することが何よりも大切です。そのためには、保護者の皆さんも、子ども達と共に小学校入学を楽しみに4月を迎えてください。

 

 

◆〈つぶやき〉コーナー◆

 

 コロナの世界的流行で、2020年の東京オリンピックは1年延期になってしまいました。

 組織委員長の交代もあり、国民の間での盛り上がりは、やや下がってきているように感じます。私にとって東京オリンピックは人生2回目となります。1964年に実施された東京オリンピックを今でも鮮明に覚えています。当時、私は中学生でしたが、オリンピック期間中の体育の授業は体育館でのテレビ観戦でした(いま思えば、体育の先生が見たかったのかも)。柔道や体操、女子のバレーボールの日本の選手の活躍をみんなで声をあげて応援しました。その中でも、特に印象に残っているのがマラソンです。私自身が中学校で陸上競技部に所属していたこともあり、日本の円谷選手が3位に入賞したことを自分のことのように喜んだことを覚えています。マラソンの沿道でたくさんの人が日の丸の旗を振って円谷選手を応援しました。東京オリンピックを終えて、中学生の私でも、日本の人々の心が一つになって応援したこと、オリンピックを契機に高速道路や新幹線などをはじめとしたインフラの整備が進み、日本が近代化に向けて発展していくことを実感しました。

 オリンピックのような世界的規模のイベントでは、国民が大会を盛り上げていくことが大会の成功の秘訣です。今回のオリンピックも国民の気持ちが一つとなり、大会を盛り上げて成功裏に終わることを願っています。コロナの流行で1年延期の東京オリンピック、私たちに何を残してくれるのでしょう。

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上席顧問 津田克彦

上席顧問 津田克彦

元私立小学校校長、元大阪府私立小学校連合会会長。 プラチナム学習会では保護者相談、進学指導、及び、「小学校受験対策集団コース」を担当。元私立小学校校長の長年の経験を活かした、噂に左右されない本質的な指導で万全の準備を進めます。特に小学校入学後に後伸びできる子ども達の指導に努めています。

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